Yasuto
Nakahara
________Chef

アイ・アム・ジプシー

情熱の国スペイン。ギラギラ照りつける太陽、闘牛、フラメンコ、サッカー、パエリヤ、ハモン、オリーブ、ヴィノ... 初めまして、スペイン料理研究家のジプシーヤストです。妻はフラメンコダンサー・おかちメンコ ユカコ です。

多分、僕ほどスペインを愛してやまない料理人は他にはいないと思います。65歳になったら妻とともにスペインに移住しようと考えています。 しかし妻はタイの方がいいらしいです。

僕が敬愛しているパパ・ヘミングウェイの「陽はまた昇る」を高校時代読んだとき、どれだけマタドール(闘牛士)になろうと思ったことか。スペイン映画「ひまわり」のラストシーンのすばらしさとかとても語り尽くせません。

前置きが長くなりましたが、いよいよ今季ベーシックコース(料理講習会)がスタートしました。記念すべき1回目は、スペイン料理。

一口にスペイン料理といってもイタリア料理同様、地方によって様々。今回は最も有名なバレンシア地方の「パエリヤ」とスペイン料理で忘れてはならない卵料理「フラメンカ・エッグ」。スペインでは、卵は復活を意味しよく食べられる。

実は数年前までパエリヤがおいしいと思ったことはなかった。スペインに行った人から聞いても、米がかたい、塩っぱい、量が多いとあまりいい感想が出てこない。しかし数年前、マダムの妹の婿さん(彼は東京でスペイン料理をしている通称ヒゲポン)が野外でパエリヤを作ってくれ、その時あまりのおいしさに感動してしまった。

それ以来、僕もパエリヤの虜になってしまった。マダムに頼んでパエリヤ鍋を買ってもらい(年数回しか使わないので普段は邪魔でしょうがないのだが)夏のキャンプ、花見バーベキュー、もちつき大会などお呼びがかかればいろんな所で活躍してきた。しかしあの時のヒゲポンのパエリヤにはどうしても辿り着けない。一番難しいのはいかにお米をベトつかせず、パラパラに仕上げ、おこげを作るかだ。

そして今回、M の月のシェフの料理人人生をかけ、パエリヤ作りに挑んだ。もしこれでだめならパエリヤ作りを封印し鍋を家に持って帰り、今後はお好み焼きパーティに使おうと思った。

そして背水の陣で臨んだ2日間、とうとう M の月シェフはまた極めてしまったのである。ていうか、今までは日本のお米を使っていたのでべたついてしまい、今回はちょっと高いけどヨーロッパの硬質米を使ったのでよかったのだ。早く気づけよ、おい。後は具材をいっぱい入れればおいしくなるのは当然。

M の月の飽くなき挑戦はまだまだ続く...

アイ・アム・ジプシー